CFO とファイナンス チームの役割の変化

Author

Christine Peart

Chief Financial Officer

Man and woman collaborating at a desk in an office Man and woman collaborating at a desk in an office

CFO とファイナンス チームの役割の変化によって戦略とビジネス インサイトの重要性が高まっていることについてご紹介します。

近年、ファイナンス チームは月次決算や月次報告以外にも、組織に対して真の価値を提供できる理想的な立場にいるという認識が広まっています。バックオフィスとして管理サービス、コンプライアンス サービス、ガバナンス サービスを担うという財務的な役割だけでは、組織のニーズを満足できなくなっているのです。私たちはファイナンス データの番人であり、なおかつその情報を活かしてビジネスを推進するための高度な分析スキルを持つという、独自の立場にいます。

このことから、最高財務責任者 (CFO) とファイナンス チームの役割は大きく変わりつつあります。私たちに求められているのは、組織に対するエンド ツー エンドの視点を活かして意思決定に貢献することです。

このような新たな期待に応えるために、変化を追求する考え方を受け入れ、組織が求めていること、つまり戦略、インサイト、リーダーシップの強化に注力するためのスキルセットを習得する必要があります。
 

未来につながる CFO スキルセットの習得

このような CFO の役割の変化は、Gartner 社の調査(英語)でも明らかです。この調査レポートでは、157 人の CFO が最優先事項のトップ 10 を回答しています。

挙げられている優先事項のほとんどが戦略的な意味が強いものであるのは当然ですが、上位 5 個の優先事項のうち 4 個が、ファイナンス チームの組織への貢献方法を再定義することに関連するものでした。今や CFO は組織の副操縦士として CEO を補佐する存在とみなされており、従来の CFO の役割、つまり主に財務チームの働きぶりを監督するという存在という認識は大きく変わっています。CFO が成功を収めるには、従来よりもはるかに広範な戦略的スキルセットを身につける必要があります。

では、この変化をどこから始めればよいでしょうか。CFO が副操縦士の役割を果たすには、ファイナンス 部門だけでなく、組織全体を深く理解する必要があるのは言うまでもありません。組織の目標を理解し、その目標が内部と外部の関係者にどう影響するのかを把握する必要があります。組織がどのように運営され、何が組織を動かしているのか、理解する必要があるのです。市場セクターと競合他社を把握する必要があります。このような知識があれば、大きな案件をサポートし、貢献することができます。
 

最新のファイナンス ソリューション

デジタル化の進んだ現在、最新のテクノロジーを導入、活用することは極めて重要です。今後の CFO は、テクノロジーを利用してビジネスの方向性を効果的に定め、財務面のテクノロジー戦略とロードマップ方針の策定を指揮することが求められます。財務面のテクノロジーに該当するのは、リモート ワーク、コラボレーション、プロセス自動化 (RPA)、開示管理、調整などを担い、ファイナンス チーム全体をサポートするシステムです。さらに、ファイナンシャル プランニング及びアナリシス (FP&A) チームを支援するソリューションとして、プランニング システム、データ リポジトリ、高度な分析を可能にするビジネス インテリジェンス (BI) ツールがあります。このようなソリューションは、その他の強固に結びついたイニシアチブを指揮するために役立ちます。たとえば、予算プロセスの効率性向上と、計画、予算、予測の戦略策定は、どちらもテクノロジーを活用することで達成できる可能性があります。

もちろん、テクノロジーは効率性と有効性を改善するためのツールではありますが、何でも解決してくれる万能ツールではありません。どのような組織でも、成功には人々の貢献が絶対に欠かせません。CFO の成功も同じです。優秀で能力の高いチームの支援があって初めて、CFO は成功することができます。質の高いファイナンス 人材が不足している現在、人材を開発し、募集し、維持する方法でも業界をリードしなければなりません。つまり、従業員エンゲージメントを改善するイニシアチブで業界をリードしなればなりません。この課題を達成するには、人事部門と協力した人材開発プログラムによって、幅広い背景を持つ人材を集め、雇用者としてのブランドを構築し、デジタル スキルを高め、従業員の満足度を高める必要があります。

2023 年現在、多くの CFO にとって優先度の高いイニシアチブが、役員会とのコミュニケーションとエンゲージメントであることは驚くべきことではありません。これからの CFO には、コミュニケーションとコラボレーションを効果的に行うスキルが求められます。CFO は、複雑な財務結果と業務成果を理解し、財務責任者として内外の関係者にわかりやすく説明できる能力だけでなく、組織全体で適切なコラボレーションを行える能力も必要です。

変化を受容する考え方を身につけ、組織で求められる役割を果たすためのスキルセットを習得する必要があることは、困難に感じられる場合があるかもしれません。結果として、このような CFO の進化の過程は、自己啓発の過程と似たものになります。

ファイナンス チームの役割の変化

CFO の役割が変化しているように、ファイナンス チームの役割も、財務取引を記録して規制要件の遵守を確認するだけではなくなってきています。ファイナンス チームは、CFO の新しい役割をすべての面でサポートし、組織に有益なインサイトをもたらせるようチームとして進化することが期待されます。

ファイナンス チームの役割が変わっても、従来の会計業務をこなすバックオフィス部門としての基礎の部分は変わりません。どのような組織の財務チームでも、取引処理、一般会計、決算、報告は今後も中心的な活動となります。ただし、時間とコストを圧縮しつつ多くの業務をこなさなければならないという圧力が増している現在、従来の責務を果たすためには、中心的プロセスの効率性を高める必要があります。バックオフィス プロセスの自動化については、取引プロセス、照合調整、財務統合といった繰り返しの多いタスクが最優先となります。期日までに決算を遂行し、ファイナンス チームの新たな役割に直接役立つ付加価値の高いタスクにリソースを集中するには、このようなプロセスの効率性を高めるしかありません。

予算編成、計画業務、業績予測、報告、分析が重視されるようになっている今、組織における FP&A チームの重要性も増しています。FP&A チームが最高クラスのステータスを維持するには、他の部門と緊密に連携して財務能力に関するインサイトを提供しながら、改善の可能性がある領域を特定することで、信頼されるビジネス パートナーとして認識してもらう必要があります。CFO の役割と同じように、数字で表されない部分までビジネスを理解することが、基本的な前提条件となります。

ここまで、CFO の変化する役割について説明しながら、テクノロジーの重要性を指摘してきました。まとめると、ファイナンス チームのメンバーは組織のためにテクノロジー関連の業務を担い、ファイナンス 改革プロジェクトを成功に向けて牽引しながら、そのようなイニシアチブに関して CFO と緊密に連携することになります。

自動化とデータ分析の取り組みを強化する中で、求められるスキルセットの変化に応じた能力を開発する必要性を認識する必要があります。これまで、ファイナンス チームを担ってきたのは専門知識を持つ会計士でした。つまり、チームには現時点でデータ アナリスト、データ サイエンティスト、プロジェクト マネージャーが存在するのです。私たちは、従来の財務的スキル以外のスキルに注目して現状のチームに投資することで、チームの分析力、問題解決力、コミュニケーション力、リーダーシップ力を高めて、幅広い業務に対応する能力を与えることができる、完璧な立場にあるのです。
 

まとめ

私は CFO として、組織の戦略と分析のニーズの高まりに対応していく中で、自身の役割、そしてチームの役割が今後も変化していくと考えています。この課題に対応するには、変化を受容する考え方を身につけ、ビジネス戦略と意思決定を伝達するインサイトを提供すスキルセットを習得する必要があります。それと同時に、効率性の高いバックオフィス サービスを今後も提供していくのです。これは CFO とファイナンス チームにとって自己啓発の過程であり、その結果として、組織の期待を上回る成果が得られるでしょう。

ファイナンスチームに最新のファイナンス ソリューションを提供し、変化する需要に対応できるように支援しましょう。