Markel社が財務計画プロセスを変革し、急速に変化する経済の中で成長と収益性を最大化

多様なサービスを提供するこの金融持株会社は、引き受け、経費、割り当て、統合など、あらゆる分野に幅広く対応する包括的な財務計画ソリューションを活用して将来に備えています

目まぐるしく変化する事業状況の中で確実に成長を続けるため、Markel社――フォーチュン500にも選ばれた、多様なサービスを提供する金融持株会社であり、主に特殊な保険商品に焦点を当てながら、独自の商品ポートフォリオやサービス提供事業も展開する――は、Anaplanを活用して包括的な財務計画システムを構築しました。これにより、Markel社の財務部門は、その効率性を劇的に向上させ、事業状況の変化に合わせて適応および成長する力を高め、さらに、社員が意欲をもって働ける、多様かつ柔軟な職場作りの基礎を固めることに成功したのです。

Anaplanのおかげで、データ収集や計算、スプレッドシートでのレポート作成などに費やしていた多くの時間を削減し、年間6,000時間の労働時間短縮を実現できました。
メレディス・オルブライト(Meredith Albright)氏 , 財務計画部門、マネージング ディレクター

60%

の時間削減を実現し、プランニング サイクルを18週間から7週間に短縮することで、計画を速やかに行動に移せるように

6,000

時間を年間で削減することで、財務部門がより価値の高い仕事に使える時間を確保

向上

された財務計画の透明性が、戦略的意思決定の質を高めるとともにプロセスを加速


保険商品を扱う大手持株会社の一社であるMarkel社は、リスクの評価、予測、および軽減に焦点を当てています。 常に変化を続ける世界経済の中で、Markel社の財務チームには、自社の保険事業や、保険以外のそのほか事業について、主要なパフォーマンス指標――収益、損失、経費、キャッシュ フローなど――を分析することが求められます。Markel社、そしてそこで働く300人以上の財務チームにとって、ますます不安定になっている事業状況の中で正しく会社を導き、その継続的な成長を支えていくためには、正確かつ柔軟で、信頼できる財務計画が必要不可欠です。

「当社のビジネスを運営する上で、迅速かつ簡単に更新でき、タイムリーで信頼のできる、そしてビジネス ドライバーに基づく財務計画は欠かせません」。Markel社のシニア バイス プレジデント兼最高財務責任者であるジェレミー・ノーブル(Jeremy Noble)氏はこう語ります。「しかし、運営組織や法人に関する予測に18週間を要する既存の財務計画ソリューションでは、それ以上当社のニーズを満たせないことは明らかでした」

さらに、Markel社の以前のソリューションは柔軟性に限界があり、複雑な構成による使いづらさも問題でした。入り組んだ計算やレポート作成にはシステム外のスプレッドシートを使用する必要があり、リアルタイムのデータ把握を困難にしていただけでなく、手作業によるミスの可能性も高まりました。

「財務計画ソリューションの刷新は、財務計画プロセス全体を再構築する良い機会となりました。効率性は大幅に改善し、ビジネス パフォーマンスの向上にもつながりました」と、Markel社で財務部門のシニア バイス プレジデントを務めるアレックス・マーチン(Alex Martin)氏は言います。「具体的には、私たちが求めていたソリューションは、運営組織全体で標準化されたプロセスの構築を可能にし、同時に、当社のユニークな事業展開の中で、それぞれの事業の細かい特色を反映できるシステムです」

最高のプラットフォームを構築する

柔軟かつ将来を見据えた設計の財務計画ソリューションを探す中で、Markel社は、Anaplanに概念実証(PoC)の実施を依頼しました。

「この実施の中で、Anaplanチームがリアルタイムでソリューションを構築する様子を実際に見ることで、ニーズの変化に合わせてシステムを更新することがいかに簡単か評価できました」と、Markel社で財務計画および分析部門のマネージング ディレクターを務めるメレディス・オルブライト氏は言います。「Anaplanが提供する優れた機能性、その直感的なインターフェース、そして高度な柔軟性にとても感銘を受けました」

PoCの成功を受け、Markel社はベスト プラクティスで導入を行うためにAnaplanパートナーのVuealtaにサポートを依頼しました。「Vuealtaのコンサルティングにおける洞察力、保険業界に対する幅広い知識、そしてこの問題に関する専門性が、私たちと手を組むというMarkel社の決定を大きく後押ししました」。Vuealta Americasのマネージング ディレクター、イルファン・オザルチン(Irfan Ozaltin)氏はそう語ります。「Anaplanに関する豊富な専門知識はもちろんのこと、Vuealtaは、The Anaplan Wayを取り入れるための明確な道筋を提示しました。Markel社は、このDNAが今後の事業成功の土台になると確信したのでしょう」

財務計画プロセスを変革する

Markel社では、Anaplanとの連携によって、総勘定元帳、人的資本、およびデータ関係管理システムからデータを統合し、そのデータを複数のプランニング プロセスに利用することが可能になりました。ベスト プラクティスを実現するため、Markel社は中央データ リポジトリとしてAnaplanデータ ハブを活用しています。このデータ ハブは、適当な詳細度で集計され、不要な要素が除かれたきれいなデータをダウンストリームの運用モデルに提供します。Markel社の包括的な財務計画環境は、次の5つのグループから構成されます。グローバルに展開する自社の特徴に対応するため、そのすべてのグループで、複数通貨でのプランニングや結果の閲覧が可能です。

  • 引き受けモデルは保険引受人によって使用され、保険料率、更新、あるいは新事業などのさまざまな要因を用いて総収入保険料(GWP)の予想を行います。また、収益パターン(収益認識)の計算や、取得原価(変動費)の管理もこのモデル内で行われます。
  • 管理可能費モデルは、オフィス関連費や出張費用、専門家報酬、そして何より人件費といった項目を管理します。「サービス提供企業である当社にとって、人件費は最大の管理可能費です」とオルブライト氏は説明します。「そのため、当社では社員レベルで費用を計画しています」。 また、Markel社の企業会計チームは、減価償却や譲渡制限付株式などの費用項目に関する情報を、このモデルを使って入力します。
  • 割り当てモデル は、本社、シェアード サービス、及び部門別のすべての費用を、適当な事業、商品、および法人に割り当てます。これらの要素は、実際の会計処理における費用分配の基盤にもなります。
  • 統合モデルは、すべての情報を一箇所にまとめることで包括的な損益計算書を作成します。また、Markel社がそのマネジメント事業で世界市場を牽引する保険リンク証券(ILS)事業、投資収益、ならびに同社の保険市場以外の事業を担うMarkel Ventures社の収入など、その特殊な各事業の計画を立てる際にも使用されます。さらに、企業会計チームは、利息、償却、所得税などの項目に関する情報を、この統合モデルを使って一元的に入力します。
  • Markel社の最も新しいモデルである資本モデルには、資本計画および分析に用いられる詳細な法人情報が含まれます。精度の高い詳細データが含まれることから、Markel社では最近これを専用モデルへと分散し、モデル規模を最適化しました。

これら5つのモデル カテゴリーを活用し、Markel社では事業ごとの運営計画や法人計画を立てています。「すべての計画は同時に作成され、それぞれが直接リンクされます」とオルブライト氏は言います。「そのおかげで、規制面と資本計画の両方の目的において、詳細な計画を立てることが可能です」

Markel社では、すべてのシステム保全および開発を、Anaplanセンター オブ エクセレンス(CoE)が担当しています。このように責任を1つのグループに割り当てることで、変化を続ける事業ニーズに迅速に対応できるようになっています。

オルブライト氏は、Anaplanプラットフォームを「Markel社にとってのゲーム チェンジャー」と呼んでいます。「このソリューションはとても使いやすく、Markel社の事業全体を支えています。Anaplanは、当社におけるFP&Aプロセスの合理化や、生産性の劇的な向上をもたらしたのです」と彼女は言います。「Anaplanのおかげで、データ収集や計算、スプレッドシートでのレポート作成などに費やしていた多くの時間を削減し、年間6,000時間の労働時間短縮を実現できました」

また、Anaplanは、Markel社における全体的なプロセスの見直しも役立っています。「Anaplanは、組織全体で標準化された財務プロセスの確立を可能にすると同時に、各事業がもつ特有のニーズに対応できる柔軟性も与えてくれました」とオルブライト氏は言います。「結果的に、内部顧客一人一人のニーズにより良い形で応えながら、ユーザー エクスペリエンスを合理化することに成功しました」

「Future of Finance」を確立する

Anaplanは、より効率的な財務分析作業を支えるだけでなく、年間財務計画の作成に要する時間を18週間からわずか7週間にまで短縮させ、さらには計画の完成度まで向上させました。Markel社の以前のプロセスでは、予測作成のために18週間を単調な作業に費やす必要がありました。現在は、7週間のうちの3~4週間を、意見を出し合いながらビジネス ドライバーに基づく予測を行う時間に、残りの3~4週間を会社の経営陣と共にその分析や見直しを行う時間に充てています。

「Anaplanによって財務計画に要する時間が半分以下に短縮されたことで、市場状況の予想外の変化にかなり柔軟に対応できるようになりました」とノーブル氏は言います。「コロナ禍で先の見えない経済状況が続く中、潜在的な問題を特定し、臨機応変に計画を変更できる力は、当社の財務状況を大幅に強化しました」

一方、戦略面でも、Markel社が業界のリーダーとしての立ち位置を維持する上で重要となる「Future of Finance」の実現に向けた同社の取り組みにおいて、Anaplanソリューションは重要な役割を担います。「私たちは未来の働き方を模索しています」とノーブル氏は説明します。「Markel社は多様かつ柔軟な職場作りを進めていくつもりです。そのために、テクノロジーやデジタル機能への有意義な投資を進めています。なぜなら、Anaplanのようなソリューションは生産性を向上させ、より良い顧客体験を創出し、社員たちの意欲を高め、ビジネス インサイトの精度を上げ、そして成長を促進してくれるからです」