連結財務諸表の準備:7つのステップ
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効率的な財務報告とコンプライアンスを実現する正確な連結財務諸表を準備するために欠かせないステップを説明します。
連結財務諸表は、複数の子会社を運営している企業や、別の会社の経営権を保持している企業にとって必須のツールです。グループ全体の財務的健全性や業績の包括的な概要を示し、ディシジョン エクセレンス、投資家の信頼確保、規制遵守に役立ちます。
この記事では、連結財務諸表を準備するプロセスについて掘り下げ、精度とコンプライアンスを確保するための詳細な手順ガイドを提供します。財務を連結しようとしている会計担当のお客様やビジネス オーナーのお客様は、本ガイドをお読みいただくことで、複雑な財務報告の必須要件に対処するために必要な知識を身に付けることができます。
七つのステップ:連結財務諸表の準備
ステップ 1:目的と範囲を理解する
連結プロセスに着手する前に、連結財務諸表の目的と範囲を把握しておくことが非常に重要です。連結財務諸表は、グループに含まれている複数の組織の財務結果をまとめて 1 組の財務諸表にしたものです。グループの財務状況、業績、キャッシュフロー、持分変動を真正かつ公正に示すことを目的としています。連結財務諸表は、子会社の経営権を保持している親会社によって通常準備され、投資家や金融機関、規制機関、社内の経営陣など、さまざまな関係者に提供されます。
連結財務諸表には、親会社とその子会社 (親会社が経営権を持つ組織) が含まれます。通常は、半数を超える議決権株式を所有している場合、又は子会社の財務方針と経営方針に大きな影響力を行使する能力がある場合に、経営権があると判断されます。適用される会計基準と規制に基づいて連結が必要な特別目的事業体だけでなく、国内と国外、両方の子会社についても考慮することが不可欠です。
ステップ 2:報告主体を特定する
次のステップは、連結財務諸表に含める必要がある報告主体の特定です。議決権株式の所有、又は大きな影響力を行使する能力を基準として、親会社によって管理されている組織を判断します。適用される会計基準と規制に基づいて連結が必要な特別目的事業体だけでなく、国内と国外、両方の子会社についても考慮することが不可欠です。
報告主体の特定では、親会社が有する子会社の持分を徹底的に確認します。場合によっては、親会社が議決権株式の過半数を保有していなくても経営権を保持していることがあります。経営権は、契約の約定や子会社の経営への大きな影響など、他の手段によっても確立できます。すべての関連組織が確実に連結財務諸表に含まれるようにするには、適切なデュー デリジェンスが必要です。
ステップ 3:財務情報を収集する
連結財務諸表を準備するために、各報告主体から財務情報を収集します。この情報には、試算表と総勘定元帳のほか、取引記録、請求書、照合などの補足書類が含まれます。連結の正確化を図るため、すべての組織が一貫した会計方針または会計慣行に準拠するようにします。
財務情報は、一般に公正妥当と認められた会計基準 (GAAP) や国際財務報告基準 (IFRS) など、適用される会計基準に準拠している必要があります。報告主体は、財務報告の一貫性を確保するために、同一の会計方針を遵守しなければなりません。子会社の間で会計方針に違いがある場合は、親会社の方針に合わせて調整を行います。
データの収集プロセスでは、会社間取引や配当、融資、資産の移転など、報告主体の間で重大な出来事や取引が発生していないかに注意します。そういった取引は、財務諸表を歪めることのないよう、連結プロセスにおいて消去また調整することが必要になります。
ステップ 4:グループ内取引を消去する
グループ内取引の消去は、連結財務諸表を準備する上で非常に重要なステップです。グループ内取引とは、グループ内の組織間で行われる取引のことです。こういった取引は、グループの本当の財務状況を反映しない、人為的な損益を生じさせる可能性があります。消去が必要なグループ内取引として一般的なものは、会社間の販売や購入、融資、配当、株式などです。
グループ内取引の消去では、記録された額と関連する未実現損益の両方を除外します。たとえば、ある子会社がグループ内の別の子会社に商品を販売した場合、その取引に関連する収益と費用は消去される必要があります。それにより、連結財務諸表がグループ外の会社との取引のみを反映するものになります。
債権、債務、投資といった会社間の口座残高も消去が必要です。これらの残高は、グループ内の報告主体の間での未払い額を表しており、外部との取引を表しません。
Anaplan の Financial Close and Consolidation アプリケーションなど、財務部門主導の先進ツールを実装することで、会社間取引、通貨換算、キャッシュフロー計算書などを自動化して、これらの作業を革新できます。こういったソリューションを使用すると、会計チームが帳簿を急いで締めなければならないという切迫した状況で起こりがちな手作業によるエラーを失くすことができます。こうした自動化は精度を高めるだけでなく、チームが業務上のタスクに縛られず戦略的分析に集中することを可能にします。
ステップ 5:未実現損益の調整を行う
未実現損益は、効果がまだ外部取引を通じて実現されていないグループ組織間の取引によって生じます。たとえば、ある子会社がグループ内の別の子会社に商品を販売した場合、その会社間の販売の未実現売上は消去される必要があります。また、不動産や知的財産など、非金融資産の移転に関する未実現損益についても、調整を実施する必要があります。
未実現損益は、財務諸表を歪ませて、グループの財務実績を不正確に表すおそれがあります。連結財務諸表では、こういった損益の調整を実施することで、グループの財務状況と運営の結果をより正確に示します。
ステップ 6:財務諸表をまとめる
次のステップでは、各報告主体の財務諸表をまとめて 1 組の連結財務諸表にします。通常、このプロセスには、賃借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、持分変動計算書などの連結が含まれます。財務諸表が一貫した会計方針と会計慣行によって準備され、すべての必要な開示が含まれていることを確認します。
財務諸表をまとめる作業では、各報告主体から資産、負債、持分、収益、費用を集計しなければなりません。連結財務諸表は親会社が有する子会社の持分を反映していることが求められ、非支配株主持分は切り離して開示されることが求められます。
会計方針と会計慣行の一貫性は、財務諸表を比較できるものにして、グループの経済的実態を財務諸表に反映させる上で不可欠です。子会社の会計方針が異なる場合は、親会社の方針に合わせて調整を行う必要があります。
ステップ 7:関連情報を開示する
連結財務諸表では、透明性の確保と規制要件の遵守のために関連情報の包括的開示が求められます。開示には通常、子会社についての詳細、連結の基礎、重要な会計方針、偶発債務、関係当事者の取引のほか、グループの事業活動に固有なその他の関連情報が含まれます。
適切な開示により、連結財務諸表の利用者があらゆる関連情報にアクセスし、十分な情報に基づいて意思決定を下せるようになります。また、グループの経営、リスク、財務状況に関する知見が得られます。開示は、適用される会計基準と規制要件に準拠して準備される必要があります。
正確な連結財務諸表の重要性
連結財務諸表の準備は、会計方針と規制への高度な理解が求められる複雑なプロセスです。この詳細な手順ガイドに沿うことで、連結財務諸表の精度とコンプライアンスを確保できます。
覚えておいていただきたいのは、連結財務諸表ではグループの財務実績と財務状況を包括的に把握できるという点です。この点は、意思決定、投資家の信頼確保、規制遵守において極めて重要です。
連結作業では、グループ組織の性質や複雑度によって特有の課題が生じる可能性があるため、必要に応じて専門知識を検討しなければなりません。正確で信頼性の高い連結財務諸表があれば、財務報告実務を改善し、将来の成長と成功に向けて強固な基盤を築くことができます。