商品財務計画 (MFP) で需要と供給の課題を攻略
在庫、マーチャンダイジング、価格設定を確実に収益成長につなげるための、Accenture 社のリテール プランニング スペシャリストへのインタビューをお読みください。
今日の市場は競争が激しく、小売業者はこれまで以上に複雑な課題に直面しています。また、選択肢と質の高い体験に対する消費者の期待は高くなっています。マクロ経済の情勢はインフレとサプライチェーンの継続的な混乱を助長し、政策の変更により ESG 関連の規制が強化されています。
Accenture 社のリテール ストラテジー プラクティスのリテール プランニング スペシャリストであるローレン・バーン氏とヴェレーナ・ボーデ氏の 2 人に、小売業者が在庫、マーチャンダイジング、価格設定を確実にビジネスと収益の成長につなげるためには、どのように戦略を強化すればよいかをお聞きしました。お二人は適切な商品を、適切な場所に、適切なタイミングで提供することが、これまで以上に重要であると考えています。
小売業者が現在直面している最大の課題は何ですか?
当社のクライアントは、ありとあらゆる側面からの課題に取り組んでいます。それは、消費者主導であったり、マクロ環境の影響であったり、コスト関連であったり、透明性の向上や規制の必要性であったりします。
消費者は、いつでも、どこでも、選択でき、入手できることを期待しています。オムニチャネル ショッピングは、今や単純に実店舗かオンラインかではなくなり、お客様は店舗にいながらオンラインにアクセスするようになっています。お客様はこれまで以上に多くの情報に指先でアクセスでき、商品、価格、そしてもちろん在庫状況を簡単に比較できます。
小売業者も消費者もインフレ圧力を感じており、それがお客様の視点では需要変動につながり、当社のクライアントからは規律と精度に対するニーズの高まりとして現れています。その一方で、サプライチェーンの混乱により、サプライヤーとのコラボレーションを強化しつつ、慎重なコンティンジェンシー プランニングやシナリオ プランニングが求められています。
持続可能性と循環型社会はここ数年話題になっていますが、もはや「あればよい」程度のものではありません。規制の強化によって、ターゲットを決めた行動 (新たな KPI など) が必要になるだけでなく、透明性の向上やデータの準備も促します。
これは簡単なことではなく、本当に重要なことに集中し続けるのは難しい場合があります。
小売業者はどのように需要と供給を管理すればよいのでしょうか?
取り組むべき大きな問題ですね。理由は明白ですが、進化し続ける市場に常に柔軟に対応しながら需要と供給のバランスを取ることは、ますます難しくなっています。
私たちはクライアントと協力して、需要と供給のプランニング プロセス、ツール、データをエンドツーエンドで統合するよう取り組んでいます。目的は、お客様の需要と供給のニーズを、複数の時間枠と詳細レベルを対象とする、信頼できる唯一の情報源を確立し、サプライヤーが状況を完全かつタイムリーに把握できるようにすることです。商品財務計画 (MFP) は、しばしば、統合に向けた取り組みの最初のステップになります。(英語)MFP によって、販売計画や在庫計画の枠組みができます。
私たちの経験では、成功には、規律あり厳格なチーム横断的な統合プランニング プロセス、明確で統一された KPI、すべての計画に情報を提供する一貫性があり高品質のデータがつきものです。
それは、マーチャンダイジングでは何を意味するのでしょうか?
顧客中心でなければなりません。つまり、お客様をプランニングと意思決定の中心に置き、従来の商品中心の考え方から脱却するのです。お客様はどのように買い物をするのか、お客様の買い物を楽にするにはどうすればよいか、を考えます。
ここから、プロセス、計画、そして最も重要なことですが、チームを統合する必要性が改めて明確になります。サイロを解消し、お客様の期待やニーズに応えることに集中しましょう。変化するニーズに対応するため、柔軟かつ俊敏に取り組みましょう。これを実現するうえで中心になるのが、ダイナミックなツールと可視性です。
意思決定はデータを基に行い、プロセスには分析を取り入れます。このようなプロセスでは、必ず「アート」を働かせる余地がありますが「サイエンス」(データ) と組み合わせて方向性を決める必要があります。
簡単なことのように聞こえますが、貴社のクライアントにとっては大きな変化なのでしょうか?
はい、ほとんどの小売業者にとって、これは大きな変化です。マーチャンダイジングと仕入れは多くの組織で一目置かれており、この 2 つの職務は成功 (又は失敗) の鍵だとみなされています。プロセスに科学を導入し、定性的で直感に基づく意思決定や、予測ではなく過去データに偏重したプランニングでから脱却することは難しいかもしれません。
先ほど、お客様は選択肢を求めていると言いましたが、私たちのクライアントもそれを痛切に感じており、それが、誤った行動やフォーカスの欠如につながるおそれがあります。お客様のグループやニーズに合わせて調整した品揃えを基に、明確な商品財務計画を持つことが重要です。明確な判断 (つまり、幅ではなく深さ) に基づいて厳選する構造と品揃えこそが、競争優位性をもたらすのです。
変革はトップダウンで進める必要があります。結果は自ずと明らかになるでしょう (定価での販売アップ、値引きの削減、売れない商品の削減)。
常に柔軟で俊敏にプランニングができるようにするには、どのような対策をとればよいでしょうか?
ツール、プロセス、作業の仕方について考えて、重要な場面で、意味のある形で素早く対応できるようにしましょう。これは、データに基づき、分析を活用する必要があります。
多くの小売業者は、データをインサイトに変えて、日々の意思決定に反映させる一歩を踏み出せていません。
商品財務計画 (MFP) はどのように役立つのでしょうか?
MFP ツールは、すべてのデータを同期します。さまざまなソースから収集された複雑な入力を、整合性を保ちつつ、信頼できる唯一の情報源にまとめます。また、財務目標、ビジネス目標、商業目標も考慮し、そこからフレームワークを作成します。これほど多様な入力を取り込むのであれば、どれほど MFP は複雑になるか想像がつくでしょう。
MFP の役目は、とにかくすべての財務目標が達成されることと、全員が同じ目標や目的を目指していることを確実なものにすることです。重要なのは、MFP によって、まさに、この柔軟性と俊敏性という考えが実現されることです。これは本当の差別化要因になります。
ここで明らかに必要なプロセスは、時間をとって、ビジネスの目標と目的を明確に定義し、顧客、製品、チャネル戦略を整合させることです。このツールがどれほど強力になるかは、このツールに適用されるリーダーシップからのトップダウンの方向性と、ツールに供給されるデータによって決まりです。
MFP による変革に乗り出すことを検討している方に、どんなアドバイスがありますか?
私たちは常にクライアントに、将来の明確なビジョンを持つこと、つまり、何を達成したいのか、そのために必要な能力は何かを明らかにし、そのうえで、真のビジネスの変化と変革の必要性に向き合うことを勧めています。現在、行っていることを再現してしまう危険性は常にあります (たとえば Excel でやっていたことをツールで再現する)。それでは最初から価値が制限されてしまいます。チームに真の変革を起こす意欲を起こさせ、あなたの発言やあなたの行動により導きます。
もうひとつ気をつけなければならないのは「機能」という言葉です。 確かに重要な要素のひとつですが、焦点はすぐにテクノロジーに向きがちです。しかし、それをサポートするために必要なデータ、プロセス、作業の進め方、組織も同じくらい重要です。将来のスキルや、データに精通し、分析により舵を取る必要性について考えてみてください。真の顧客中心主義とエンド ツー エンドの統合を達成するために、どのような体制が必要かを考えてください。
強固な基盤が整えば、頭のスペースが解放されて、考え、対応できるようになります。次はどうなりたいのか、今のパフォーマンスはどうか、成長のチャンスはどこにあるのか、差別化を図るにはどうするかを考えます。
最後の質問です。MFP が生き残るだけでなく、繁栄するためにそれほど重要なのはなぜでしょうか?
お話したように、MFP はプランニングと意思決定の枠組みを設定するものです。MFP は大きな目標の概要を示し、品揃え、価格、在庫に関するすべての意思決定が、財務計画をサポートすることを確実にするために用いるべきものです。
MFP が提供するデータと情報は、チャネルや業務部門の境界を超えて利用できます。計画とパフォーマンスを 1 つのビューでリアルタイムで確認でき、全員が常に同じ目標に向かって取り組めるようになります。
手作業で再フォーキャストする、種類の異なるスプレッドシートやツールをチーム内やチーム間で調整するといった作業から脱却することで、日々の仕事のやり方が一変します。可視性とインサイト、そして何よりも時間が得られることで、注力すべきことの優先順位が明確になり、迅速に有意義な行動を取れるようになります。
ダイナミックでデータに基づく効率的な MFP 機能は、ひとえにマーチャンダイザーの役割を高めます。ツール、データ、フレームワークが「サイエンス」を提供し「アート」や成長志向の活動に集中する時間が生まれます。
こちらで、リテール プランニングを成長エンジンに変える Anaplan Merchandise Financial Planning のデモ(英語)をご覧ください。
Accenture 社、リテール戦略担当シニア マネージャー、ローレン・バーン (Lauren Byrne) 氏 Accenture 社で欧州全域のリテール戦略のマーチャンダイジング エクセレンス チームを共同で指揮しています。プランニングと在庫最適化を中心に、マーチャンダイジング、ビジネス オペレーティング モデル、サプライチェーン エクセレンスに焦点を当てた複数のプロジェクトを指揮してきました。
Accenture 社、リテール戦略担当マネジャー、ヴェレーナ・ボーデ (Verena Bode) 氏 バリューチェーン全体にわたるビジネス戦略と変革に関する幅広い専門知識を有しています。マーチャンダイジング、品揃え計画、エンド ツー エンド プランニングにおけるターゲット オペレーティング モデルの最適化と導入に重点的に取り組んでいます。複数のサポート IT システムの選定と実装を監督しており、最近では、Anaplan MFP の導入プロジェクトの機能設計を指揮しました。