ブレークスルーから利益率まで: IBP による製薬業界の計画業務変革

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Anaplan

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製薬業界の最終目標は、この業界特有かつ生命にもかかわるという性質をもち、それが製薬企業の課題を生んでいます。製薬企業では、追求するブレークスルーと、商業的成功とのバランスを慎重に取っていく必要があります。投資を回収すべき期間が短く、複雑な流通網を持つ製薬業界では、不安定な市場でも利益を確保できるだけの堅実な計画プロセスが必要です。一貫して正確にサプライチェーンを管理できるかどうかが、成功の鍵を握ります。

統合事業計画 (IBP) は、製薬事業の計画業務の新時代への入り口です。このブログで説明するように、コネクテッド プランニングの原則を IBP に適用すれば、意思決定の迅速化、効率の向上、より堅牢なサプライチェーンを実現できます。

では、プランニング トランスフォーメーションの取り組みを始めるにあたり、確実に正しいアプローチを取るにはどうすれば良いのでしょうか。
 

従来の計画業務が製薬企業に向かない理由

従来の営業・オペレーション計画 (S&OP) のやり方では、製薬業界が必要とするレベルで、将来を見通したプランニングに対応できません。複数のスプレッドシートを使用するため、需要と供給のバランスを表現することができず、誤った計算式を適用したり、さらには必要な情報が揃わない状態でサイロ化された意思決定を行ってしまうこともあります。

さまざまなソースから巨大なスプレッドシートへのデータの統合や、系統立てられていない内部報告業務のために、非常に手間のかかるデータ クリーンアップ作業が必要になり、プランニング プロセスの貴重な時間が奪われ、優れた意思決定ができません。その結果、リスクへの対処や、市場の変化への迅速な対応に時間がかかるようになります。従来の S&OP を使用している部門では、シームレスな組織横断のコラボレーションを行うことがなかなかできません。

以下のすべての質問に、自信を持って「はい」と答えられるでしょうか?

  • ポートフォリオの製品の利益水準を明確に把握していますか?
  • 損益への影響を理解していて、複数のシナリオでフォーキャストを立てることができますか?
  • 需給ショックに迅速に対応できますか?
  • すべての業務領域において、生産能力を変更する適切なタイミングを把握していますか? 

これらの質問に対する答えのいずれかが「いいえ」である場合、連携のないプロセスやサイロ化されたプランニングが足かせになっている組織である可能性があります。 
 

未来は「統合」

IBP の第一の目的は、統一されたオペレーション計画について組織全体のコンセンサスを得ることです。それは、需要、供給、製品、ポートフォリオの変化に関する予測と、それに基づく財務計画を厳しく評価し、磨きをかけることで達成されます。

IBP は、研究開発、財務、製造、サプライチェーン、調達、営業オペレーションの現在のデータソースをシームレスに統合し、迅速で的確な意思決定と、より高度なモデル化を可能にします。これは、潜在的なリスクへの適応力を高め、利益率を改善し、極めて重要なビジネス成果を後押しします。

IBP なら、動的なシナリオ計画を作成できるため、需給フォーキャストを分析して、損益上最も有利なシナリオを正確に特定できます。IBP では、ビジネスデータを一元管理でき、すべての関係者にとって信頼できる唯一の情報源になります。

このアプローチでは、ほぼリアルタイムの可視性が得られるため、先を見通して将来に備えることができ、現在の計画とその実行に関して、すべての業務領域でコンセンサスを取ることができます。
 

スマートな意思決定を実現 

IBP は次の極めて重要な 3 領域に大きく貢献します。1) さらなる成長の促進、2) サプライチェーンのレジリエンスと効率の向上、3) 運転資本活用の最適化。

3 つの領域それぞれについて、IBP がどのように役立つかを説明します。

成長と俊敏性: 異なる地域すべての需要に対応できる十分な在庫を確保し、需要の急増にも適切に対処できるようにします。また、さまざまな市場における価格弾力性や利益管理など、価格設定上の重要な意思決定に対する損益の影響をモデル化できるようにもなります。承認間近の医薬品の将来的な需給ニーズのフォーキャスト精度が向上し、研究開発ポートフォリオの最適化が可能になります。

サプライチェーンの効率化: 需要フォーキャストの精度を改善します。これは、費用対効果の高いサプライチェーンの構築につながり、運送コスト、倉庫保管コスト、在庫保有コスト、消費期限切れ製品の廃棄損を削減します。

運転資本の最適化: システム内の在庫量を削減することで、運転資本を解放して他の領域での ROI を高めます。需要の見通しを改善し、適切なタイミングで適切な量の製品と資材を用意することで、全体的な在庫レベルを下げ、維持コストを削減できます。

業界のベンチマークによると、IBP に Anaplan を利用しているお客様は、これら 3 領域のそれぞれについて、サービスレベルは平均で 5 ~ 20% 向上し、サプライチェーンのコストは 10 ~ 15% 削減され、運転資本は 10 ~ 20% 向上しています。*参照: McKinsey & Company – A better way to drive your business  (英語) 
 

IBP におけるコネクテッド プランニングの威力

大手製薬企業は、コネクテッド プランニングを活用して個々の財務プロセスを統合し、部門別の S&OP から IBP へと進化させています。これにより、ネイティブに近い処理速度で継続的なプランニングが可能になり、チームはデータの加工にかける時間を削減して、データの分析にかける時間を増やすことができます。

統合は、主に、次の五つの方法で計画業務プロセスを支援します。

  1. ポートフォリオ プランニング:現行の医薬品のライフサイクルから新しいモダリティの導入まで、製品ポートフォリオの健全性を評価および管理すると同時に、損益の観点から考慮して、確実に、より広範な目標と戦略に合致した意思決定を行えるようにします。
  2. 需要計画:最新の制約のない需要計画と目標とのギャップを把握し、そのギャップを埋めるためのアクション プランに沿って調整できるようにします。
  3. 供給計画:制約のない需要計画や他の代替シナリオに基づき、最速で対応できるサプライチェーンを計画します。主要なパートナーからのインプットやデータを取り入れながら、さまざまなシナリオをモデル化して、損益を最大化し、サプライチェーン プロセスを最適化する方法を特定できます。
  4. 統合的アライメント:需給フォーキャストに基づく損益目標を達成するための計画を定義し、分析できます。
  5. マネジメント ビジネス レビュー:ビジネス全体のデータ入力を統合し、損益を最適化するために、1 つのフォーキャスト計画に従ってビジネス全体で整合を取ることができます。

この 五つのステップを実施することで、以下の二つの大手製薬会社のように、大きな利益を実現できます。

  • フォーチュン 40 に選ばれたある多国籍製薬会社では、サプライチェーン、営業、財務のフォーキャストを整合させて完全な統合を実現することで、財務計画を戦略的計画に転換して以来、収益が 32% 増加しました。
  • ある大手製薬会社では、グローバルなフォーキャスト及び需要計画ソリューションを構築して以来、50% の増収を報告しています。
     

先を見通したプランニングでレジリエンスを確保

製薬業のサプライチェーンは複雑であるだけでなく、研究開発や製造のリードタイムが長いこと、また、医薬品のポートフォリオは複雑であることもあり、レジリエンスの高いサプライチェーンが必要です。リスクや機会に対応するだけでは不十分で、先を見通して計画を立てる必要があります。

製薬企業の IBP 対応は他業界と比べて数年遅れており、そのために研究開発や利益のポテンシャルの具現化が遅々として進んでいません。Anaplan のコネクテッド プランニング プラットフォームを活用した IBP を導入することで、プロセスに大きな実利をもたらし、収益成長に弾みを付けることができます。

Anaplan には、他の業界や既に IBP を活用している他社に追いつくために必要なすべての機能が揃っています。

IBP が、より効率的で堅牢な製薬サプライチェーンのプランニングにどのように役立つかをご確認ください。