変革は目的地ではなく旅路である
財務のモダナイゼーションとは、アジャイルさが求められる終わりのないプロセスです。財務リーダーには、進化し続けるビジネスのニーズに目を配りつつ、リーダーそれぞれのペースで導入、最新化、変革を行うことができるアプローチが必要です。
世界は激動の時代を迎えています。企業は、顧客の期待に応え、市場のダイナミクスに適応し、競合の一歩先を行こうとしても、すぐに苦戦を強いられます。時間がかかり、連携されていない従来の財務計画システムから、絶えず発生するビジネスと市場の変化に合わせて容易に調整できる、最新のコネクテッド ファイナンスに変革しなければ、競争優位性は損なわれてしまいます。
非連携のプランニングの課題
降りかかる課題の数々は、決して他人事ではありません。
インフレ圧力や、縮小傾向にある経済、グローバル サプライチェーンの障がい、慢性的な人手不足など、業界は非常に移ろいやすく複雑です。しかも、財務分野ではテクノロジーの進歩と顧客の行動の変化によって次々と変革が起こっており、財務リーダーの役割はますます企業の成功に欠かせなくなっています。
不確実性を乗り超えるには、新たな課題や機会が現れたときに、踏みとどまるべきときと、軸足を移すべきときを判断する、高度な適応性とアジリティが求められます。しかし、最善を尽くしても、効果的な予測や、ビジネスにプラスの影響を与える十分な情報に基づいた意思決定を妨げる障害があります。
財務リーダーがアジャイルで近代的な財務組織を作り、自信を持ってリードすることを妨げているものは何でしょうか? 調査では、実に財務リーダーの 84% もが、不完全な情報や精度の低い予測に基づいて重要なビジネス上の意思決定を行っていることが明らかになっています。その結果、事業予測や収益予測が古すぎて、包括的な戦略や業務にズレが生じ、最終的に収益に悪影響を及ぼすことが頻発しています。
財務リーダーはリアルタイムのフォーキャストが極めて重要であることを認識していますが、調査の参加者のうち、現在リアルタイムのフォーキャストに成功していると回答したのはわずか 7% でした。当社の調査によると、財務リーダーの 80% がサイロ化のために組織全体のインサイトを獲得することが困難であると感じており、98% がフォーキャストに他部門のデータを利用したくても障害がありアクセスできずにいます。45% は、より連携されたアプローチの妨げとなっているのは、新しいテクノロジーや AI に関してスタッフのアップスキリングが追いついていないことだと考えています。
戦略的優位性と競争優位性の維持を望むなら、財務およびオペレーション計画に、最新のコネクテッドなアプローチを採用する必要があります。ますます複雑になる現在の環境では、最新のプランニングは「あればよい」という程度のものではなく、不可欠なものです。プランニング、予算編成、フォーキャストを支援する従来の方法から、拡張型計画分析 (xP&A) に移行することで、これまで手が届かなかったレベルのデータの透明性、インサイト、コラボレーションが可能になり、財務リーダーはそれを利用して、情報に基づいた意思決定を行えるようになります。
変革には時間がかかる
たしかに、従来のプロセスを覆すことは困難です。従来のシステムはすべての関係者が知っていて、理解しており、現在の標準から脱却することは不安で難しく、時間がかかります。財務はこれまで財務計画プロセス全体を担ってきたため、変革する財務リーダーには、財務業務の考え方を転換できる大きなチャンスがあります。
積極的に協力する関係者を増やすことも、他部門に新たな責任を負わせたり、これまで自分たちの役割に含まれていなかったプロセスへの参加を求めたりすることも困難です。他部門には、プランニング以外に自分たちの日常業務があり、自分たちの業務外の仕事にさらに時間をかけるよう求めれば、強い反発を受ける可能性があります。新しい関係者が加わったとしても、データが増えれば、苦労も増えます。たとえば、差異を把握して修正するのは複雑な作業で、可能性がある対策のシナリオを考案するのは根気のいる作業で、時には不可能に感じることもあります。
そして、何よりも最も難しい課題は、自分自身を含め、マインドセット (考え方) を変えるということです。古くからのパターンは気楽で、予測しやすいことから、「いつもながらのやり方」というのは、世界中の組織で繰り返し聞かれる言葉です。たとえ経営幹部であっても、個人に変化を受け入れてもらうのは大変なことです。コネクテッド ファイナンスを定着させるには、経営幹部から賛同を得ることが、間違いなく重要です。しかし、彼らは忙しく、経営に集中しており、現行のプロセスを信頼しています。
お客様の現状に合わせて変革を支援する Anaplan
お客様がモダナイゼーションに着手するにあたり、Anaplan はすぐに対応できる改善点を洗い出し、目に見えるインパクトと成果を早期に出せるようサポートします。このような実績が口コミや指標、成果の積み重ねによって裏付けられると、マインドセットが変わり始め、実際に本格的な作業を開始できます。ますます多くの関係者が多くの成果を確認するにつれ、さらにニーズや問題点が明らかになり、取り組みは賛同を集め、勢いを増していきます。
経営幹部と関係者が成果を確認したら、コネクテッド ファイナンスを目指す取り組みの次のステージに進んで、現行のプロセスを最新化します。まず、バリューチェーンを構築して、従来の考え方を排除して財務およびオペレーション計画の未来に進む上で最大の障害となる問題点を特定するとよいでしょう。
プロセスの最新化ができたら、プランニング全体のアプローチを変革できるようになります。マインドセットの転換が最も大きく影響するのはこの部分です。新しいビジョンを確立できたら、新しいプロセス、関係者、製品、KPI などを取り入れることが容易になります。人、データ、テクノロジーを整合させ、レジリエンスが高く、未来にも通用するアジャイルな環境を構築することで、組織全体が将来の混乱、不確実性、複雑性にうまく対応できるよう備えることができます。
財務およびその他の業務領域チームは、従来のサイロ化、極めて不十分なコラボレーション、慣性的に続けてきた慣習を捨て、組織全体で足並みを揃えて、最大の成功を求めていくことに合意する必要があります。全員が参加することで、迅速に分析し、必要な調整を行うアジリティが自然に発揮されるようになります。また、企業自身や市場、消費者のために調整が必要になった場合に、柔軟に調整できることも、企業にとってメリットになります。