データと価値をつなぐ: 自動車部品サプライヤーのプランニング手法の変革

AUTHOR

Anaplan

The platform for orchestrating performance.

統合事業計画の導入によりレジリエンスに優れたサプライチェーンを構築し、競合優位性を強化し、キャッシュ フロー及び流動性を高める方法をご紹介します。

現在、自動車部品のメーカー/サプライヤー市場では収益と利益の源泉に大きな変化が生じ、これまでとまったく異なる未来に直面しています。車両の電動化を求める流れは、自動車業界全体に広がっている重大な変化ですが、事態のほんの一部に過ぎません。

  • サプライチェーンの混乱により未だに輸送の遅れ、サービス レベルの低下、生産の停止が続いている
  • インフレにより材料費やサプライチェーン費用の増加が続いている (しかも多くの場合、増加した費用は消費者に転嫁される)
  • 世界的に、法規制およびサステナビリティの目標の厳格化がより一層進んでいる
  • プランニング プロセスやテクノロジーが古いとオペレーション能力が不足する可能性がある
  • 人件費の増加とスキル不足により生産性が危機的状況に陥っている

バランスを保つだけでも多大な労力が必要であり、日々の安定性を確保するのはもちろん、利益追求の機会を生むことも困難です。

このような変化の激しい状況にも対応できる、正確で先見の明のある計画を立てる力が緊急に求められてます。そのため、トップクラスの自動車部品サプライヤーの間では、統合事業計画 (IBP) の導入が進みつつあります。IBP は、従来の営業/オペレーション計画 (S&OP) の手法を源流とし、ビジネスで連携する利害関係者とデータ ソースを増やすために拡張したものです。IBP の目標は、サプライチェーンの混乱などのリスクを特定し、こうしたリスクの影響を抑える戦略を用意することです。

IBP では計画のあらゆる段階にわたってチーム、プロセス、テクノロジーを結びつけ、機能横断的なコラボレーションを強化し、ビジネスの意思決定を最適化します。自動車部品サプライヤーにとって、IBP 導入の出発点はサプライチェーンが最適です。ここから始めることで、レジリエンスを高め、競合優位性を強化し、キャッシュフロー及び流動性を改善できるでしょう。  
 

従来のプランニングでは力不足である理由

自動車部品サプライヤーの従来のプランニング プロセスは、「安定した需要」という今やまったく成り立たないシナリオに合わせて組み立てられています。そのため、このプロセスは時代遅れであり、収益拡大、サプライチェーン レジリエンス、運転資本最適化という 3 つの主要領域で価値を推進することができません。 

整合性の取れた単一の事業計画を中心軸として効果的な意思決定を行うには、関連性の高い最新のデータに基づいて財務モデル及びオペレーション モデルを組み立てる必要があります。IBP をビジネスに導入すると、こうしたデータにアクセスし、データが変化した際には計画に直接影響する決断を下せるようになります。IBP を活用しない場合、主要部門の洞察が不十分になります。その結果、たとえば需要と共有に関する決断が損益に与える影響を把握することができなくなってしまいます。

たいていの自動車部品サプライヤーは、いまだに複数のソースから一貫性のないサイロ化したデータを得て、非効率な手作業とスプレッドシートを基に計画を策定しています。このプランニング プロセスでは、企業内の分断されたソースからインサイトを得るために、内部会議を何度も行わないといけません。そのため、必然的に誤りが生じ、決断に時間がかかり、部門間の足並みが揃わなくなってしまいます。
 

チャンスの無駄遣い

意思決定とプランニングのプロセスが脆弱で市場の変化にすぐに反応できない自動車部品サプライヤーは、成長の可能性をつかめません。リスクへの迅速な対応も不可能です。フィル レートが下がり、配送の遅延やカスタマー エクスペリエンスの低下、売り逃しのほか、アフターマーケット需要への対応力の低下につながるおそれがあります。多くのプロセスが手作業とスプレッドシートに依存しているため、戦略的というより受動的 (リスク管理) になってしまいます。

また、サプライチェーン費用を最適化する機会も先延ばしになってしまいます。たとえば、需要予測の精度が低いと、ルート計画が不正確になった結果、運送費がかさみ、倉庫費用も増加するおそれがあります。また、不適切な在庫管理も悪影響を及ぼす要因であり、適切なタイミングで適切な量の商品や材料を揃えられなくなります。在庫過多や陳腐化が生じた場合、在庫不足による営業や評判へのダメージと同程度の損害を負いかねません。

そのため、自動車部品サプライヤー業界では、複数の部門に S&OP を導入してリスク及びチャンスへの対応力を強化する試みが行われてきました。しかし、S&OP はリスクの特定には役立つものの、各部門が孤立しており事前対応的なプランニングへの協力が不十分であるため、十分な成果を得られないことがほとんどでした。既存手法を漸進的に発展させるだけでは、リスクの効果的な特定、評価、対応を促進することはできないのです。
 

唯一の情報源の活用

トップ クラスの自動車部品サプライヤーは、IBP を導入することで、プランニング プロセスの改善を図り、めんどうなデータ照合/レビューのサイクルから貴重な時間を解放しています。IBP では、組織の必須要素 (財務、オペレーション、営業、サプライチェーン) 及び個々のプランニング プロセスを結びつけることで、従来の S&OP 手法を拡張、強化します。その目的は、需要、供給、商品、及びポートフォリオの変化をタイミングよく正確に予測し、その予測結果に基づいた単一の事業計画と、この計画から策定した財務計画を後ろ盾として社内の足並みを揃えることです。

IBP では、プランニング プロセスの全段階で各部門から得られたリアルタイムの財務データ、計画、予測を活用し、ボリュームベースのプランニングと緊密に連携させます。動的なシナリオ プランニングにより「what-if」シナリオを展開して、需要と供給に対する決断と財務への影響の相関関係を分析し、月次の計画業務サイクルに最適な戦略を特定できます。
 

実際の IBP の手順

たとえば需要計画の段階では、すべての関連部署から集約した情報を検討して需要のギャップを把握し、このギャップを埋める計画について、損益に対するその計画の影響を完全に把握したうえで調整を行います。

IBP のベスト プラクティスでは、長期的な戦略的事業計画を翌月のオペレーション計画および戦術計画と結びつけます。このように継続的なプランニングへ移行することで、リスクやチャンスに対する受動的な態勢を能動的な態勢へと転換できます。

IBP ではデータが一元化されるため、現在の計画とその実行方法に対する見解を全部門で統一できます。チーム メンバーがデータを更新するか新規データを入力すると、関係する箇所にその変更が自動的に伝播されます。これにより、迅速で効率的な意思決定にとって一番の妨げとなるサイロを解消し、組織全体の連携性を高められます。結果として、正確なデータに基づき、迅速かつ自信をもって戦略上の決断を下せるようになります。
 

未来に備える

IBP は、組織の業績に対するきわめて大きな影響をもたらします。

  • 成長の拡大: 正確な需要計画により収益を拡大するとともに、損益の影響を基に重要な価格設定上の意思決定を行えます。
  • サプライチェーンのレジリエンスと効率の向上: 正確な需要予測による効果が得られるのに加え、運送、倉庫、在庫保管にかかる費用も削減できます。
  • 運転資本の最適化: システムに適切な量の在庫を維持できていると確信し、浮いた資本を他の領域における ROI の強化に活用できます。

みなさんは、次の質問に自信を持って答えられるでしょうか。

  • OEM の受注に対し、サプライチェーンの混乱はリアルタイムでどのような影響を及ぼしていますか?
  • サイロを解消しプランニングを最適化するために、ボリューム プランニングとバリュー プランニングを結びつけるにはどうすればよいでしょうか?
  • 現在は生産ラインの変更 (拡大や廃止) に適したタイミングですか?
  • 社内の長期戦略に対するオペレーション計画および戦術計画の整合性はどの程度ですか?

答えられない質問があった方は、すぐにプランニング プロセスの成熟度を高めることをお勧めします。

自動車部品サプライヤー業界が、一部ビジネス機能への IBP の導入により進展を遂げたことは間違いありません。しかし、プランニングの成熟度は、まだ他の業界と比べて大きく下回っています。競合優位性を高め、有無を言わさぬ成果を示したいと考えるのであれば、この状況を変えなければいけません。成熟した IBP に移行することで、大きな価値が得られます。
 

業界ベンチマークに示されたサプライヤーの IBP 導入効果 (平均値):

サービス レベルの改善率
 

サプライチェーン コストの削減率

運転資本の増加率
 

日本のあるティア 1 自動車部品サプライヤーは、Anaplan ソリューションの導入により、営業部門、サプライチェーン部門、財務部門にわたって計画を結びつけ、プランニング プロセスの期間を半年から数週間に短縮することができました。また、サプライチェーン データと財務データの統合により、意思決定の強化も実現しています。
 

次世代のプランニング力を身につける

自動車企業が利益率の追求、市場の変動、業界の急速な電動化にさらされている世界では、サプライチェーンはレジリエンスを強化し効率を大幅に高めなければなりません。自動車部品サプライヤーが成長の機会を逃さないためには、今すぐ行動を起こす必要があります。すぐに動くことで、今後のビジネスが大きく変わります

自動車業界における統合事業計画活用法の詳細をご覧ください。